8月10日、郷ノ浦町のJA壱岐市大会議室で「壱岐市農業支援事業協同組合 創立総会」が開かれ、長崎県で2例目となる特定地域づくり事業協同組合として「壱岐市農業支援事業協同組合」が誕生しました。
本総会は、検温、手指の消毒、マスクの着用やソーシャルディスタンスなどの新型コロナ感染症対策を講じて、各関係機関(県、市、中小企業団体中央会、JAグループ長崎等)より35人が参集して開催されました。
JA壱岐市では、策定中の営農振興10ヵ年計画「第9次営農振興計画」で、①生産販売高100億円②新規就農者100人③集落営農組織100組織の「3つの100」を柱として目標に掲げています。
大きな柱の一つとなる、新規就農者100人を目指す中で、現在の壱岐市を取り巻く少子高齢化による急速な人口減少と農業の担い手不足解消に対応した取り組みが求められます。具体的な取り組みを決定するため、同JAでは「営農振興計画推進特別委員会」を設置し協議を進めてきました
また、策定する営農振興計画を「壱岐地域の農業戦略」と位置づけ、県や市、関係機関らからなる「壱岐地域農業戦略推進会議」で課題を共有し、議論を続けてきました。
度重なる議論を続け、地域雇用・定住の促進と農業の担い手育成を目的に、全国で初となる「農業版マルチワーカー」の創出に取り組むことを決定しました。
本取組は、令和2年6月に施行された「地域人口の急減に対処するための特定地域づくり事業の推進に関する法律」に基づく「特定地域づくり事業協同組合制度交付金」を活用していきます。
総合的な労働力支援組織を設立することで、農業の担い手対策及び慢性的な人手不足の解消と壱岐市内での定住を希望する者(市内の若者やU・Iターン希望者)を、雇用労力の受入を希望する農業者(規模拡大を志向する者や労力不足に悩む者)に派遣する「マルチワーカー」として雇用し、安定した所得を確保しながら農業経営技術の習得を図ることで、農業従事者(新規就農)を増加させる仕組みを構築します。
開会にあたり、発起人を代表して同JA川﨑裕司組合長は「本組合の創立は人口減少による雇用を始めた様々な問題に対して、昨年6月に施行された特定地域づくり推進法を活用して創立した。本来は商業用の補助事業として取り組まれるものだが、関係機関の働きかけにより、全国で初となる農業版マルチワーカーの創出を目的とした組合の立ち上げとなった。第9次営農振興計画の目標を達成する中で、規模拡大については雇用の拡大が不可欠である。また農家の親御さんの希望として、後継者として帰島を願う方が多数いる。その足掛かりになると思っている。これから沢山の課題はあるが、関係者と一体となり、壱岐の農業振興に努めていく」と思いを語りました。
その後、各議案について審議を行いました。設立にあたっての定款の設定や、事業計画・収支予算、役員選出など全13の議案が挙げられ、全議案承認されました。
その後、役員選出にて理事長に就任した川﨑裕司理事長は「全国初の農業版マルチワーカー制度ということで今後色んな課題が出てくると思う。関係機関にも指導いただきながら取り組んで行く。農業に従事し技術を習得してもらい、就農してもらう。その繰り返しは着実な農業の就業人口増加に繋がっていく」と挨拶し閉会しました。
今後、同組合では広く島内に周知し、マルチワーカーの募集・選定を行い、11月から希望農家のもとへ派遣を行っていく予定です。